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個人特集

京都府福知山市 松本 和徳 さん

私と同じ世代の方々と、ガイドを通して語り合うことができる。

2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」は、福知山城(京都府福知山市)を築いた明智光秀が主人公。城内はあちらこちらにポスターやのぼりなどが掲出され、〝大河〟ムードに満ちている。「福知山観光ガイドの会」会長を務める松本和徳・福知山市老人クラブ連合会事務局長(74)は、「これから、もっと忙しくなりますよ」と、自然と力が入る。

 

 

  • 決して一方通行ではなく、来城者と対話する

    ガイドの会は、2009年4月に発足。「ただ単に城の紹介をするだけではダメなんですよ」という松本会長は「だからこそ、やりがいを感じます」と、表情を引き締める。

    「城のことをご存じない方には、明智の人物像から城の成り立ちなど〝いろは〟をお話するのですが、好きな方は、お越しになるまでにスマホなどで情報を収集されていて、私よりよくご存じで…。そういう方からは逆に教えていただくようにすると、お客様もどんどんお話くださいます。お客様の気持ちをくんで、それに沿ったおもてなしをしていくことが大事ですね」

    決して一方通行ではなく、来城者と対話する。そこにコミュニケーションが生まれる。

  • リピーターになっていただくことが、私たちの使命

    「先日は、名城百選をめぐってこられたお客様をガイドさせていただきました。いろいろとお話をうかがって『すばらしいですね』とお伝えしたところ、すぐに名城百選のスタンプを送ってくださいました。これはうれしかったですねぇ。本当に、私の宝物です。ガイド冥利につきますね」

    お話をうかがった日(11月14日)は風が強く、小雨がぱらつく悪天候にもかかわらず、多くの観光客が城を訪れていた。松本会長は「きょうもたくさんお出でいただいてますね」と頬を緩ませながら、「こういった方々に『また来てみたい』と感じていただけるようなガイドを、これからもしていかなければいけません」と力を込める。

    「来年は、たくさんのお客様がお越しになるでしょうが、ドラマが終わっていらっしゃらなくなったら、何もなりません。ブームが去った後の方が、もっと大事なんです。繰り返しますが、初めてお越しくださった方々に気持ちよく帰っていただいて、リピーターになっていただくことが、これからの私たちの使命と考えています」

    勾配が平均15度で130メートルもある登城坂を少しでも楽に歩いていただくため、会の10周年記念事業の一環として「善意の杖」20本を寄贈した。また、団体ガイドの要請が増えるであろう来年へ向け、ガイド要因の確保とスキルアップに努めているという。すべては、お客様に気持ち良い時間を過ごしていただくためだ。

  • 人間って、年を取るほど話したくなるもの

    ガイドの会のトップとして、市の観光事業に力を注ぐ松本会長自身、12月で75歳になる。

    「お客様のなかには、仕事をリタイアされた方もいらっしゃいます。私と同じ世代の方々と、ガイドを通して語り合うことができる。そうして、高め合うことができる。人間って、年を取るほど話したくなるもの。話したいんです。聞きたいんです。聞いてほしいんです。この3つを大切にして、これからもガイドを続けていきたいですね」

    松本会長は老連事務局長としての顔ものぞかせながら、穏やかに微笑んだ。

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